苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「で、その課長はカッコいいの?」
「う、う~ん……。カッコいい言うより、きちっとしているというか、隙がないというか……」
確かに外見は、高身長で整った顔立ちではある。ただその雰囲気は、お堅いアンドロイドか、石仏か……。
三十二歳にしては、やたら落ち着いて見える。課長は表情を崩さないタイプで、近くにいるこちらとしては時に冷静過ぎて、彼の態度に戸惑うことも多い。
「あぁムリ~。そういうのタイプじゃない。明奈だってそうでしょ?」
「別に……そういう目で見てないから」
「そこがおかしい!」
突然、茜は手に持った割り箸の袋を勢いよくこちらへ向けた。
「管理本部にいた男と別れて、かれこれ四年? さすがにもう次の候補見つけるでしょ」
「あれは……。もういいの」
嫌な思い出のせいか、茜には別れた理由をはっきりとは伝えていない。かつて茜と同じ会社に勤務していた頃、一年先輩の男性とお付き合いをしていた。どこかエリート気取りだった元カレとの思い出は、自分を犠牲にして付き合った記憶しかない。
「だからこそ、自分の前に現れた男がふさわしいかどうか、毎回がジャッジなんだから。恋してないと、あっという間に枯れてくだけだよ。早く本気で探しなさい!」