苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
目の前に置かれたパフェはとても魅力的だけど、なぜか課長の言葉ばかりが耳に響く。たとえ仕事絡みとはいえ、私のことを想って連れて来てくれたなんて。
「あの、ありがとうございます」
すっかり浮かれてしまい、笑みがこぼれっぱなしになってしまう。
そして課長のことばかりが気にかかり、胸が苦しくなった。
「食べないのか?」
「いえ……もちろん食べます」
まずはスパークリングワインをゆっくりと口に含み、スプーンでパフェの一番上に乗せてあるラズベリーの実をつついた。
何とか深呼吸をして落ち着くと、パフェをひと口味わってみる。優しい甘味が舌の上で溶け、二口目には爽やかな酸味とチョコレートの苦みが重なる。複雑な味が広がり、仄かに香るアルコールも効いて、とても濃厚な大人の味わいだ。
「これ、今までに食べたことない味です。美味しい~」
「そうか。良かったな」
課長はゆったりとスパークリングワインを傾けた。
ほんの少し前までは、こうして二人でパフェを囲むなんて思っても見なかったのに。そう考えると、この時間がとても貴重に感じてしまう。
「何だかご褒美をもらった気分です。まさか、こんな高級なお店でご馳走になるなんて」
「――ん? 俺がいつ奢ると言った?」