苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

「――あはは。そうですよね。すっかり翻弄されてました。ただの噂話なのに……」

「そうだろ。そんなどうでもいい話、まともに受け止めるな。たぶん、二人で移動中だったところを見かけたんだろう。ただのいとこと一緒に歩くだけで、カップルにされるんだからな」

「……えっ!?」

『いとこ』というキーワードがすぐに飲み込めず、目を大きく見開いたまま動きを止めた。すると課長が不思議そうな顔をして、私を見つめる。

「あのオーナーの方、いとこ……だったんですか?」

「あぁ。ドッグカフェの経営状況や事業展開を見てほしいと依頼されて。時々、アドバイスをしに店へ顔を出してる。伽耶の親からも色々面倒見てやってくれと頼まれて、その関係で、住まいもあの周辺になった」

 そっか。あの女性と付き合っているわけじゃなかったんだ……。

 課長の女性関係を少し知ることができて、なぜかホッとしている自分がいる。そんな立場でもないくせに。おかしな感情に、自分でも呆れてしまう。

「それより芦原こそ、どうなんだ? 交友関係とか、仕事上の悩みだけじゃなくても構わないよ。メンターとして相談に乗る」

 気になっている相手からそう尋ねられても、どう返していいのか分からない。

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