苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「私は……そんな、華やかな話もないですから」
今は言葉を濁すしかなかった。それに課長は私と茜の会話を聞いているのだから、あの時、彼氏と別れて四年ということが耳に届いているはずで……。
わぁぁ、そうだった。私の情報が、必要以上に課長へ伝わってる。
今さら恥ずかしくなり、上半身が熱く火照り出す。慌てて残りのワインを飲み干し、両手で頬を隠した。
「そ、それより、せっかくメンターでしたら一方的な話じゃなく、課長のことも聞きたいです。好きなタイプの女性とか……教えてください」
お酒の力を借りて、ずばり尋ねてみることにした。
いきなり自分のことを問われた課長は、一瞬、どこか気まずそうな顔をする。そして、吹っ切れたように頬を緩めた。
「確かにそうだな。いつまでも心の内を明かさない限り、お互い打ち解けるわけがない」
彼は真正面にいる私をまっすぐに見つめた。私は周囲の音にかき消されないよう、課長の声に耳を澄ませる。
「たとえば……自分の好きなものに対して、全力で追いかけてるようなタイプ……かな」
一瞬、私に向けて伝えているのように聞こえてしまった。でも、そんなわけもなく、一人混乱してのぼせ上る。変な汗が出て、空になったワイングラスを何度も口に運んだ。