苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 このまま強引に連れて行かれないように、視線を落とし、思い切り足元に力を入れた。加瀬さんはさらに力を込めて腕を掴む。

 その時、誰かが背後から走り寄る音が響く。そして掴まれた腕を振りほどかせると、強引に肩を引き寄せられた。

「もうこれ以上、彼女には触れるな!」

 ハッとして顔を上げる。私を庇うように立ち塞がり、鋭い声で相手を制止してくれたのは課長だった。
 加瀬さんは怒りに満ちた表情を浮かべ、背の高い課長を見上げている。

「はぁ。誰だよ!? 今、将来の大切な話をしてるんだ。邪魔しないでもらいたいな」

 すると課長は私の肩を強く抱き寄せ、相手を威嚇するように声を上げた。

「それなら今後はきちんと覚えろ。俺の彼女だということを!」

 その言葉を聞いた加瀬さんは一瞬気まずそうな表情を浮かべ、悔しそうに舌打ちをした。

「誰が、お前みたいな女……。わざわざ迎えに来てやったのに、恥をかかせて」

 捨て台詞を残し、彼は腹立たしそうに足音を響かせると、すぐにその場を立ち去った。
 呆然と課長へ視線を送ると、私の肩を抱き寄せたまま、厳しい顔つきで押し黙っている。彼の指先が痛いくらい強く肩を掴んだ。

「俺たちも外へ出よう」

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