苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 興奮状態で部屋に戻ってしばらくすると、茜から着信が入る。

「ちょっと聞いて~。井口くんの誕生日がもうすぐなんだけど、プレゼントがさぁ~」

 相変わらず幸せそうで安心する。ただ、今夜の元カレの件だけはきちんと聞いておきたい。一通り伝えると、茜は驚きの声を上げた。

「えぇっ!? 加瀬さんが仕事場に? 最近、お客として何度か来ててさ。今は彼女と別れてるから、もう一度やり直したいとかで、色々と相談されて。一度、明奈に聞いてみてからって答えたのに。そんなモラハラ男だったなんて、知らなかったよ。本当にごめん!!」

「いいよ。別れた理由をはっきりと教えない私がいけなかったんだから。でも、加瀬さんと別れて正解だった。それだけはよく分かった」

「明奈、やっぱり次の人を見つけるべきだよ!」

「う、うん……」

 そう返されても、今の私には課長のことしか頭に浮かばない。そして、少しでも課長のことを知りたかった。

「――そうだよね。良さそうな人がいたら、探してみる。でもその前に、茜にお願いがあって。実は藤生課長、会社で私のメンター担当なんだ。今後のこともあるし、彼がどういう人なのか知っておきたくて。その……友人の井口さんなら詳しいかな? 課長には、気になる女性がいるらしくて……」

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