苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 冷水で顔を洗い、気合いを入れた。今日は仕事を頑張り、課長に認められるように張り切って過ごす。そう意気込んで出社する。

 勇んで企画管理本部のドアを開けると、いきなり目の前に課長が立っていた。まさかの状況に、瞬時に熱が上がり、元気に挨拶しようと意気込んでいた頭の中は真っ白になった。

「え、えっと。おは……ようござ、います」
「あぁ、おはよう」

 平然と返され、ぎこちない私は一人で恥ずかしさを覚えた。

 あぁっもう。何もかも考えすぎだ。ただ普通に接すればいいものを……。

 バッグには昨夜借りた課長のハンカチが忍ばせてあった。昨夜のうちに洗濯をし、アイロンまでかけてある。さり気なく渡すだけでいいのに、そのタイミングさえ掴めない。

 課長はいつも通り、昨夜の出来事はまるでなかったかのように平然としている。
 ここは仕事場で、そんなことは当たり前なのに。慌ててこちらも頭の中を仕事モードに切り替える。

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