苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
SCENE7 手探りの二人
あれから二週間ほど過ぎた。課長との関係は普段通り、というより、どこかぎこちないままだ。
すっかりハンカチを返すタイミングを失ってしまい、今はお守りのようにバッグの中で収まっている。抑えた気持ちを抱えているせいか、このところ課長に抱き付く夢ばかり見てしまう。
「ふぅ~……」
朝一番。自分の席でパソコンの前に座ると、気合いを入れるために背筋を伸ばす。そして深く息を吐き、頭の中を大掃除する。
「お、さっそくやってる。今朝も仕事前に集中して偉いじゃん!」
と、すっかり志田さんにからかわれるようになってしまった。まさか課長のことばかり頭に浮かぶので、消し去っているんですとは言えない。
朝のミーティングが終わり、若松さんから声をかけられる。軽く上げている片手には、昨日行われた試食会の試作品がぶら下がっていた。
「これ、昨日の夕方、急に部長たちが試食会に参加してさ。コンセプトが大人の休憩時間って割に、少し甘みが強すぎるんじゃないかって意見が出されて。開発課に連絡して、チョコの味にもう少しビター感出してもらってくれる?」
「はい。分かりました」