苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
途中まで私が向かい、どこかで合流してサインをもらえば、ラボまで届けることができるかもしれない。
「これから課長の所へ行ってきます。途中で連絡は取ってみますが、若松さんからもお願いします」
彼は一瞬迷ったように眉をひそめたけれど、すぐに承諾してくれた。
「わかった。連絡してみる」
ここから向かうと一時間以上はかかる。急いで駅へ行き、到着した電車に乗り込んだ。乗り継ぎをして私鉄に乗り換える。その途中、課長に何度か連絡を取るけれど、やはり繋がらない。
電車で移動してしばらくすると、若松さんからメッセージが届いた。
《通信会社のシステム関係で、エラーが起きてるらしい。連絡が入り次第伝えておくから》
何もかもが空回りしている状況に、ため息を吐く。
どうして今日に限って、すべてがうまくいかないんだろう……。
乗客が連れているベビーカーの中の子どもが、急に大きな声で泣き出す。その声に、こちらまで悲しい気持ちになってきた。
東京方面から遠ざかる景色も緑が多くなり、乗客もまばらだ。途中、到着時間が少し遅れたものの、何とか目的地に到着できた。依然として課長とは連絡がつかない。