苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

「それで……」
「お待たせしました」

 言葉の途中で店員が料理を運んできてくれた。こんな風にタイミングを逃してしまうところが私らしい。目の前のテーブルには、美味しそうな匂いをさせた白いプレートが二つ並べられた。
 言葉を呑み込んだまま、深く息を吐く。心音が高まりそうになり、必死で逃した。店員が立ち去ると、課長が尋ねる。

「で、何か言いかけていたようだったが?」
「いえ……」

 私は頭を横に振り、否定した。
 課長はすぐにプレートの中身をわけてくれて、チキンソテーと魚のグリルの両方を乗せてくれた。

「いただきます」

 焼き加減や味付けもちょうどよく、空腹だった私はどんどん箸が進む。ふと見上げると、課長と視線がぶつかった。見つめられていることで、急に食べるのが恥ずかしくなる。

「味はどう?」
「とっても美味しいです」

 とにかく、今は課長とこうして食べているだけで私は幸せだ。お腹が満たされ、元気を取り戻す。せっかくならと勇気を出し、気になっていることを尋ねた。

「いきなりですが、ちょっとだけ質問してもいいですか?」
「何だ、急に」

 課長は不思議そうな顔をしてこちらへ視線を向ける。

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