苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
課長は一瞬戸惑ったような顔をして周囲を見回す。
そして、素直に部屋へ上がってくれた。ワンルームの部屋だから、玄関の傍にあるコンパクトなダイニングテーブルが目立ってしまう。そこにキッチンマットを敷き、皿を並べておいた。
「もう夕飯は食べましたか? もし、お腹がいっぱいだったら……私の計画は最初から失敗ですね」
「この香り、もしかして……」
「課長に食べてもらいたくて、カレーをたくさん作ったんです」
そう伝えると、課長は顔をほころばせた。
「それなら計画通りだな。腹は減ってるし、また食べられるのは嬉しいよ」
課長は着ていたコートを脱ぐとテーブル席に着き、用意しておいたおしぼりで手を拭いた。私は彼のコートをハンガーに掛け、キッチンに立つ。カレーをセッティングして課長の前に置き、自分の分も用意すると、彼の向かい側に座った。
「いただきます」
二人で声を上げ、食べ始める。彼はいつものように黙々と食べてくれた。そしてあっという間に食べ終わり、すぐに空になったお皿を突き出される。
「今夜は特別なんだろ? おかわりしても問題がないのなら、堂々ともらうよ」
「もちろんです! 何回でもしてください」