苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 嬉しくなって、ご飯を大盛りにし、カレーをたっぷりとかけた。課長の目の前に置くと、その量に驚き、大きな笑い声を上げる。

「おいおい。サービス満点だな」

 課長が楽しそうにカレーを口へ運ぶ。その姿を見てるだけで、私は心が満たされていくのを感じた。少しでも彼が喜んでくれたのなら、それだけで嬉しい。
 食べ終わった食器を片付けていると、課長が立ち上がり、一緒に運んでくれた。

「まだまだ終わらないですよ。ちゃんとデザートも用意してるんですからね」

 もちろん今夜も簡単にできるデザートが冷蔵庫に完成している。シンクに入れたお皿を水に浸していると、課長がすぐ隣に立った。

「芦原、教えてくれないか? どうして、わざわざ俺にこんなことを」

 視線が注がれているのがわかり、逃れるように、シンクの中へ重ねていた食器を見つめる。

「……最近、会社の中が薄暗く感じて。それに、課長も大変そうで……私、心配だったんです。だから、少しでも元気付けたくなって。カレーなら喜んでくれるかと」

「俺のため……?」

 思い切って横にいる課長の顔を見上げる。メガネの奥には、こちらを優しく見守るような瞳があった。

「だから、今夜だけ私がメンターになろうと思います。何でもいいので、相談してください」

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