苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「仕事では完璧を装って、ぶれない上司を演じているが、本当の俺は不器用な人間だ」
課長が私の手をそっと掴んだ。驚いて、思い切り顔を上げる。視線が絡み、真剣な眼差しが私を包み込む。
「ずっと気になっていた女性は、すぐ目の前にいる。俺は芦原のことが好きだ」
じわじわと目の奥が熱くなり、視界が潤んでくる。
「そんな。今夜はそんなつもりじゃなく……ただ、課長が喜んでくれれば……いいと思って。でも、ずっと本心が伝えられなくて、振られるのを覚悟してたのに」
訳が分からないまま涙があふれてくる。望んでいた幸せが、いきなり手の平にふわりと乗せてもらえるなんて。
「私も……ずっと好きでした」
言葉を返すと、彼の手が私の背中へ優しく回され、そっと腕の中へ包み込んだ。軽く抱きしめたかと思うと、すぐに力強く引き寄せる。彼の胸の辺りに頬が触れ、じわじわと温もりが伝わってくる。触れている場所から熱が広がり、このまま燃え上がりそうになった。
しばらくして、彼が腕の力を緩める。思わず顔を上げると、背中にあった彼の手が、私の頬にそっと触れた。そのまま誘導されるように、お互いの顔を近付ける。