苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
それだけ言うと、立ち去って行った。まるで異動を覚悟しろと、脅されているように感じる。でも、これ以上課長の責任にされてしまうのは、到底我慢できなかった。たとえこの部署にいられなくなったとしても、それは覚悟の上だ。
すると、視線の先に天野さんの姿が目に入る。彼女はどこか青白いような顔をして、こちらを見つめていた。視線が合うとすぐに俯き、背中を向けてその場を立ち去る。
もしかして、何かを知っているのだろうか?
それとも、後藤さんのことを心配して?
このまま何もしないままでは、課長も責任を問われてしまうし、チームにも影響がある。何か行動を起こさないと……。
少し時間を置き、私は天野さんが廊下へ出たタイミングを見計らって、彼女を追いかけた。幸い、周囲には誰もいない状況だ。今なら、少しぐらい何かを聞き出せるかもしれない。
「天野さん……」
声をかけると彼女はビクッとして立ち止まり、こちらを振り返る。その表情は、少し怯えているように見えた。
「いきなり驚かせて、ごめんなさい。先ほどのAチームの件について、後藤さんや部長のお話で、いくつか不明な点があるんです。もし何かご存じでしたら、ちょっとでもいいので、お聞きしたいのですが」