苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

「後藤英美里の経歴を調べてもらった。どうやら彼女は、長谷川の前妻の娘らしい」

 その言葉に驚き、改めてページを捲る。長谷川部長は若い頃に結婚をし、娘を授かった。その後、数年で離婚。社内で知り合った女性と再婚している。

「今後、長谷川と後藤の二人に関して怪しい動きがあった場合、逐一報告をしてほしい。それから、社内での不審なやり取りにも注意を払ってくれ」

「はい……分かりました」

「相手が目立つ動きをするつもりなら、今後、何か対策を取らなくてはならない。新しい組織を作るためには、専務をはじめとした旧体制を一掃し、新規のアイデアが活かせるような体勢を作らなくてはと考えている。そのためには、協力が必要だ。だからこそ、君にお願いしている。ここへ来てもらった理由の一つだ」

「えぇ……。理解してます」

 自分が入社した際、企画開発本部の刷新と旧派閥との調整をどう行うか。その課題を与えられていた。しばらく二人で今後の細かな点を検討し、旧体制とのやり取りについて話し合いが続いた。

「それで、藤生が推していた新人はどうなった? 確か、Cチームにいる……」
「芦原、ですか?」

「あぁ。彼女の様子はどうだ?」

 社長はにこやかな顔をして尋ねてくる。いきなり芦原の話題に切り替わったことで言葉に詰まった。

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