苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
唇が重なり、もう止められなくなる。ただ、ひたすらキスを重ねた。
さすがに一度に求めすぎても嫌われそうだ。
全神経を集中して顔を離したつもりが、彼女の瞳を見つめてしまい、その決意も鈍る。そして、再び彼女の名前を呼んだ。
「明奈。もう少しだけ、いいかな?」
すぐに意味が通じたのか、恥ずかしそうな顔で彼女が頷く。再び唇を重ねると、
何度もお互いを探り合った。
深夜に何とか自宅へ戻ったが、翌朝、彼女に求められて再びマンションへ向かう。結局、顔を見たくなっているのは俺の方だった。
* * * * *
あれから数週間が過ぎ、社内を騒がせた部長は責任を問われ、表向きには別の部署への異動ということになった。現実的には左遷のような形だ。そのことで本人はプライドを傷つけられたのか、結局居づらくなり辞職することになった。部長の娘、後藤も同じく会社を辞めることが決まった。
このことで社長も動きやすくなり、社内改革がいっそう進むことだろう。
最近は自分に対する周囲の誤解も溶け、態度が軟化している。かつて機械的だと批判的だった者たちは手の平を返すように評価し、協力してくれるようになった。