苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
訳の分からない意気込みを掲げ、足を気遣いながら、ゆっくりと店内に入る。店員に案内され、課長が座る窓際のテーブルに座った。陽貴さんは視線を上げ、なぜか食い入るように私を見つめてる。
「どうした。何かあったのか?」
その言葉にギクリとする。鋭い指摘に、言葉を返せない。周囲を見回し、窓の外へと目を向けた。外にはビルの眩い灯りが見え、店内の窓際にはクリスマスのデコレーションが賑やかに飾られている。
「すみません。ちょっと片付けに戸惑って、遅くなりました。――そ、それよりイルミネーション、綺麗ですね~。店内の飾りつけも、素敵で……」
話題を変えてみる。なぜか陽貴さんは沈黙し、私を見つめたままだ。
「ここ数日、忙しくて明奈の顔をまともに見れなかったな。今日は髪を下ろしたのか?」
彼はテーブル越しに片手を伸ばすと、私の頬にそっと触れた。
今朝は特別に時間をかけて髪をセットし、毛先を緩く丸め、肩まで下ろしている。メイクは淡いピンクをベースに施してみた。服装は仕事帰りなので、いつものオフィスカジュアルだけれど、なるべく華やかなフレアスカートを選んでいる。