苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
手元に置かれたテーブルライトが、陽貴さんの顔を優しく照らす。
私だって、彼の顔をゆっくり見ていない。真正面から見つめる陽貴さんは、いつになく精悍な顔つきだ。思わず黒のスーツ姿に見とれてしまう。
しばらくしてスパークリングワインが運ばれ、テーブルにはクリスマスディナーの料理が並んだ。
二人でゆっくりと料理を味わい、何度も視線を向けられる。心地よく流れていく時間。このまま時が止まってくれればいいのに……。
すっかり酔いが回り、帰る頃には、ほろ酔い気分になっていた。陽貴さんは腕に付けた時計を確認する。
「そろそろ行こう。タクシーが到着する時間だ」
私は立ち上がろうとして、足に激痛が走り、再び座り込んだ。
「大丈夫か? そんなに飲ませたかな」
心配そうな顔で、彼が私の前に手を伸ばす。私はその手を掴み、ゆっくりとイスから立ち上がろうとする。バランスを崩しかけながら、何とか立ち上がることができた。
陽貴さんは眉根を寄せ、鋭い視線で私の足元を見つめる。
「何か様子がおかしいと思ったが、その足、もしかして痛めたのか?」
今さら嘘はつけない。私は静かに頷いた。