苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「……痛っ」
「たぶん捻挫だな。まずシャワーを浴びて、それから冷やして様子を見よう」
再び抱き上げられると、バスルームに案内され、彼の大きめなトレーナーと、紐で調整できるスウェットを用意してくれた。
「少し大きいが、工夫すれば着れるだろ」
椅子を用意してもらい、シャワーを浴びると、何とか着替え終わる。リビングのソファーまで運んでもらい、そこへゆっくり降ろされた。
私をソファーへ座らせると、彼は部屋の隅へと向かう。チェストの引き出しを開け、中から湿布薬を取り出し、再び私の足元へ座った。
そして足の痛めた箇所にそっと貼り付けてくれる。
「はぁぁ……。ひんやりして気持ちいいです」
最初は冷たいかと思われた湿布も、次第に患部が冷えて心地よくなる。安心した気持ちでソファーに座り、置かれている大きい楕円形のクッションを抱きしめた。
「俺も浴びてくる。水をここへ置いておくから、水分補給をしろよ」
そう言うと、彼は水のペットボトルをローテーブルに置き、浴室へ向かった。
すっかり至れり尽くせりの状況に、夢見心地になる。私は水の入ったボトルを開けて一口飲んだ。彼のシャワーを待っている間、ソファーに座りながら、のんびり外の夜景を眺める。