苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 こうして同じ部屋で二人一緒に過ごせるなんて、最高に幸せな瞬間だ。あまりにも心地良くて、もう何も要らないかも。

 意識が次第に薄らいでいく……。


 ふと気が付き目を開けると、隣にあったのはクッションではなく、陽貴さんだった。私は彼に寄り掛かり、少し眠ってしまったようだ。彼を見上げると、その顔にメガネがない。綺麗な流線形の瞳が、ダイレクトにこちらを見つめていることに気付く。

「陽貴さん……?」
「ごめん。ベッドに運ぶつもりが、あまりにも可愛くて……つい、見とれて」

 低い声で伝えられた言葉が耳をくすぐり、同時に心の奥まで揺さぶられる。

「あの……メガネ。なくても見えるんですか?」
「あぁ。もっと近くで見たくなって」

 相変わらず熱い眼差しを送られ、恥ずかしさのあまり、話題を変えようと別な話を探す。

「強引に、この部屋へ連れて来てもらったので……私はこのままソファーで……」

 すると彼は、その言葉を遮るように、こちらへ顔を近付ける。

「足の状態はどうだ。冷やしたことで、痛みは酷くなってないか?」

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