苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
満員電車も少しの我慢。そう思っている最中、ふと目の前にキラキラとした光の粒のようなものが見える。
あれ、おかしい……。
車内の照明が、アルコールのせいで眩しく見えたのだろうか。最初はそう思っていたけれど、視界の中央にキラキラと輝くものが見えた。それがギザギザとした幾何学模様のように広がり、次第に大きくなっていく。
あ、まずい……これって。
嫌な予感がした。視界が徐々に暗くなり、こめかみの辺りがズキズキと疼き出す。
これは確か、数年前に経験した閃輝暗点という症状だ。
人によって違いがあるけれど、私はいくつも症状が重なるタイプだった。光を見た後に視界が暗く狭くなる。その後、頭痛がして、それが酷くなり吐き気を催す。
どうしよう……次の停車駅で降りないと。
そう考えている最中、頭に紐でも巻かれているような違和感と痛みが出始め、その場で座りたくなるような衝動を覚えた。何とか視線を窓際に向け、気持ちを紛らわせる。ただ列車が早く停車するのを願った。
すると、斜め上の方から睨みつけているような課長の視線と重なる。人の谷間に埋もれてしまいそうな私を、冷静に観察しているのだろうか。
その時、突然ガタンと揺れ、列車に急ブレーキがかかった。