苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
課長の手ががっしりと肩を抱き、引き寄せて寄りかからせているせいか、揺れが起きる度に彼の胸元辺りへ顔を打ちつける。気持ち悪さと気恥ずかしさで、上半身は熱を帯びてきた。
「きちんと押さえているから大丈夫だ。体をもっと預けて、もたれさせろ」
「はい……」
一瞬見上げると課長は長い腕を伸ばし、吊革がぶら下がるステンレス部分をがっちりと握りしめていた。言われるままに、すっかり身を委ねる。
しばらくすると、無事に次の駅へ到着した。そのまま肩を支えられ、抱きかかえられるようにして電車を降りる。
すっかり混乱してしまい、気持ちが落ち着かない。まだ頭痛や吐き気が残る中、普段見慣れない課長の横顔ばかりが気になった。胸の奥がざわめき、動悸がいっそう激しくなる。いったい何の理由で体調が悪いのか、自分でも分からなくなりそう。ひとまず冷静になるため、大きく息を吸い込んだ。
「ふぅぅ……」
「大丈夫か? まずは駅員に知らせて救急を呼ぼう」
「あの……待って、ください。ちょっと……座りたいです」
課長は周囲を見回し、ベンチを見つけるとそこへ案内してくれた。そのまま着席させてもらうと隣に彼が座り、こちらの顔を覗き込む。
「後は? どうすればいい?」