苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
ちょっとだけ人間らしいところを垣間見たからって、何も恥ずかしがる必要なんてないのに。今夜は、ただ具合の悪くなった部下を助けた上司という構図だ。変に意識してしまう自分がおかしい。
あれは人の姿をした、ただのアンドロイドなのだから。
いつもの課長の立ち位置を思い出し、ゆっくりと自宅のある方面の電車へ向かった。
最寄り駅まで何とか乗り継ぎ、ようやく自宅のワンルームマンションに辿り着く。
ひとまず温かいシャワーを浴びながら、今夜の出来事を全部洗い流す。
お風呂ですっきりすると、すぐにベッドへ潜り込んで目を閉じた。
すると、なぜか列車内で課長の胸元に引き寄せられた場面ばかりが何度も頭を過る。
「わぁぁ。……こんなのゴミ箱行き」
頭の中で、想像のゴミ箱へと、不必要な感情を放り込む。
変な興奮は続き、いつまでも寝付けない。そしていつの間にか意識は薄れ、今夜の出来事はふわふわした夢の中へと消えていった。
* * *
土日は基本的に仕事はお休み。
翌朝は昼までベッドの中でゴロゴロしていた。何とか起き上がり、スマホを覗く。そこには父からのメッセージが届いていた。中身を確認すると、見慣れたメッセージが目に入る。