苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
そこへいきなり課長が現れた。私は思わず背筋を伸ばす。他のメンバーたちも緊張が走ったのか、一斉にお互いの顔を見つめ合う。
課長は無表情で、空席になっていた西尾さんの席に座った。
「では、朝のミーティングを始める」
先週までは、リーダーの代理を若松さんが務めていたのに。何を伝えに来たのか、課長の発言が気になる。
「現在、欠勤している西尾リーダーは、体調不良の原因を調べるため、しばらく検査入院することが決まった。そこで、今後は私がCグループのリーダーを兼任する。状況次第でサブリーダーを決め、少しずつ仕事を覚えてもらいたいと考えている」
突然の決定に戸惑い、思わず隣にいる志田さんへ視線を送る。彼女は入社四年目の二十六歳で、私より一つ年下の先輩だ。業務内容を親切に指導してくれて、社内状況も詳しく教えてくれるので、とても心強い。
「西尾リーダーからは、メールで業務の引継ぎを済ませてある。進行中の件については、引き続き進めてほしい」
「はい」
課長の掛け声にチームが一斉に返事をした。
「それから……以前からあったメンター制度の件だが、社内ではうまく機能しなかった。通知を見たと思うが、再度浸透させることを目標に、今後は社員同士のカジュアルな交流を進める。できれば個人間での距離を縮め、お互いの認識を深めてもらいたい」