苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
課長は落ち着いた様子で全員の顔を見て、言葉を続けた。
「Cチームでメンター研修を受けているのは、若松と西尾リーダーの二人だ。そこで予定通り、若松が佐伯と志田を担当する。それから、芦原は西尾リーダーの担当だったので、しばらくは私が代理で行う」
「えっ……」
思わず声が漏れてしまい、視線が一斉にこちらへ集まる。
「何か問題が?」
課長からそう問われ、一瞬ギクリとする。その視線は、鋭く尖っているように感じた。
「い、いえ。でも、部長は普段の業務でお忙しいのではと……」
「心配は無用だ。メンター研修はきちんと受けているし、Cチームの進捗状況は把握しておいた。それに以前、リーダー業務をこなしていたのだから問題はない」
「そう……ですか」
課長は私が入社する数年前にチームリーダーを経験している。その際、彼が立ち上げた企画がヒットに繋がり、昇進を果たしたという。
さすがにこれ以上の踏み込んだ意見も言えず、納得するしかなかった。
「それでは今朝のミーティングは終了。それぞれ仕事を始めて」
課長が静かに去ると、室内にはホッとしたような空気が流れた。