苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
社内はどこもパーテーションで仕切られていて、別室にいる課長の様子は分からない。
午前中はいつチェックが戻ってくるのか気になってしまい、席を立ったり座ったり。落ち着かなくて、他の仕事が手につかなかった。
ランチタイムのチャイムが鳴り、ひとまず何事もなく過ぎたことでホッとする。
気力を消耗したせいか、何も進んでいないのにぐったりしてしまう。
今日は甘いものでも食べようかな……。
部屋にいた社員たちはお昼を済ませに、あるいは買い物へと部屋を出て行く。時折、私も志田さんとご飯へ行くことはあるけれど、今日は約束していない。
とりあえずコンビニへ出掛けようと財布を持って席を立った。
すると目の前に、いきなり課長が現れる。思わずビクッとして、数歩後ずさりした。
「か、課長!!」
「何を驚いてる?」
「い、いえ。別に……」
静かになった室内に二人きり。
先ほどのメールの件か、それとも別の案件か……。
財布を握りしめて固まったまま、課長を見上げる。メガネの奥から謎のビームが放たれ、こちらの情報を冷静に読み取っているように思えた。
「今すぐ、一緒に来てもらおうか」
「は、はい!」