苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「今日はこちらの都合に合わせて連れてきたのだから、ランチはご馳走する」
「いえ、お構いなく。こちらの分は、きちんと支払いますので」
相手のペースに飲まれ、ただダメ出しをされてしまっても困る。この形でまとめた理由を理解してもらえるように、きちんと伝えなくては。
ランチセットが運ばれ、プレートにはチキンの照り焼きと、サフランライスにカラフルなサラダが盛られていた。食後には飲み物が運ばれるそうだ。
仕事をさっさと済ませるために、黙々と食べ始める。
「それで、金曜の夜の……体調は元に戻ったのか?」
「はい。おかげさまで、すっかり元気です」
再び沈黙して食事を続ける。
「普段、食事はきちんと美味しく食べているのか?」
「は、はい!?」
質問の意味に訳が分からず、口元へ運んでいたスプーンを止めると、驚きの眼差しで課長を見上げた。
「いや……食欲がない日や、ただ空腹を満たすだけの食事をしていないかどうか聞きたくて」
いったい何を尋ねたいのだろうか。瞬きを繰り返すと課長は深く息を吐き、片手でメガネを整える。
「実は、こういう質問に慣れていなくて。あぁ……率直に聞くが、普段食事がとれなくなるような、仕事上の悩みはあるか?」