苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 新卒で入社した当時、同じ社内で付き合っている女性がいた。
 しかし、親しくしていくうちに相手に違和感を覚えることが多くなる。彼女は何かと上辺ばかりを重視していた。
 彼女自身の服装とメイク。俺の社会的立場と条件。二人の関係性。いかに周囲から羨ましがられるか。彼女にとっては、そういったことが重要だったようだ。SNSで自慢めいた投稿ばかりをされ、社内中で噂になった。本当にうんざりだ。

 だからこそ、社内での行動はいっそうの注意が必要だった。それを踏まえての自分の言動が、あの夜に聞いた芦原の本音に繋がるのだろう。


 そして、芦原との関係が変化するきっかけになった、あの居酒屋での夜――。


            *


 友人の井口から相談があると言われ、少しだけならと、待ち合わせ場所の駅ビルに向かった。井口は大学時代の友人だ。以前から付き合っていた彼女とうまくいってないらしい。

 井口はまくし立てるように、これまでの経緯を話した。そして吹っ切れたようにビールを流し込むと、トイレに立った。

 ひとまず感情を一気に吐き出して、気分が落ち着いたようだな。そろそろ店を出るか……。
 
 時計を確認している最中、背後から甲高い声が響く。
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