苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

「わぁ。芦原さ~ん。ちょうど聞きたかったの。プレゼンの準備って、もう済んでる?」
「え、えぇ。まぁ……」

 小首を傾けながら、こちらへ尋ねてくる様子に言葉を失う。私に女性らしさをアピールされても、何もお返しできないのに。一般的にこういう女性を「可愛い」というのだろうか。未だに、この雰囲気がどうにも受け付けない。

 確かに身長は私よりも小柄だし、年齢も二十四歳と三つ年下でフレッシュではある。入社したばかりで、商品企画課に異動してきたのは、私よりほんの数週間前だという。一応同僚という存在ではあるけれど、他の先輩方と話していた方がよっぽど気が休まる。

「はぁ~……。私、何とか準備はしたんだけど、全然自信ないんだぁ」
「あの、私もまったく自信はありませんよ」

「でも、Cチームは先輩が詳しく教えてくれるんでしょ? こっちの先輩は厳しくて」
「こちらも先輩は忙しいので、AIとか、基本的な進め方をレクチャーされただけです」

 敢えて淡々と答える。今はアイデアをAIでまとめてくれるけれど、そのまま使うのは危険だ。更に実用的に使えるかを検討し、活かさなければならない。社内からも、そう指示されている。結局、進めていくのは人間なのだ。
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