苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

「へぇ~同じかぁ。で、どういう形にしたの? 商品設定は?」
「それは当日のお楽しみ、ということで……」

 踏み込んで尋ねてくるけれど、真の目的は、こちらのリサーチなのだと感じた。
 一瞬間が空き、彼女は瞬きを繰り返す。その間にエレベーターのドアが開いた。

「そうだよね」

 えへっ。と、いたずら顔を浮かべると肩をすくめ、ドアの外へと歩き出す。その姿に呆れ、後へ続いた。
 時々、男性社員に囲まれている姿を見かけるけれど、きっと誰かに構ってもらわないといられないタイプなのだろう。

 まだ今日の仕事は終わらない。気合いを入れて席へ戻り、パソコンの前に座った。


       *        *       * 


 忙しい毎日が過ぎ、ようやく週末が訪れる。
 昼過ぎまでゆっくりと寝て、ブランチを食べる。それからのんびりと支度をして、家を出た。

 今日は販売促進のためのイベントが、都内にある商業ビルの会場で開催されている。イベントを取り仕切るのは販売促進課なので、必要とあれば応援要員となるけれど、今回は声が掛かっていない。ただ、今後の仕事や間近に迫るプレゼンの参考になることもあり、少しだけ覗いてみることにした。


< 72 / 193 >

この作品をシェア

pagetop