苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「どうしてここにいるんですか?」
「俺の方が逆に聞きたい。まさか同じ店に出入りしてるとはな。ここの近くに住んでいるのか?」
そそっかしい場面ばかりを助けられ、ちょっと気まずくなる。
「あの……自宅からは、ちょっと離れてます。こういうお店が好きなので、以前から通ってました。いつも新しい発見があるんです。興味をそそられるというか……」
すると課長が頬を緩め、こちらへ同意するように言葉を重ねる。
「あぁ、確かにそうだな。謎の調味料や、見たことない果物とかだろ?」
「そうです!」
まさか、普段フラットな彼が共感してくれているなんて。思わずそれに感動して、テンションが高くなる。
「課長こそ、ここのお店によく来られるんですか?」
「俺は新商品に使えそうな食材や、何かヒントがあるような気がして、時々立ち寄ることにしている」
さすがは課長。もしかして二十四時間体勢? やはり休日までも機械のように休めないのだろうか。感心していると、彼の視線が私のカゴに向けれられることに気付く。
「ずいぶん重そうだな。まとめて買い出しか?」
「はい。一人暮らしなので。平日は疲れて料理を作る気力も失せてしまって、作り置きを……」