苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
どうしよう……。もしかして不味かったとか!?
人によっては、味の感じ方も好みも違う。お世辞にも美味しいとは言えない出来なのだろうか。お互い食べ終わるまで静かな時間が流れた。
「あの……味は、どうでしたか?」
恐る恐る尋ねると、課長が顔を上げ、視線を合わせた。
「凄く美味い。もう一杯もらってもいいか?」
急な彼のジャッジに頬の辺りが緩み、ふわふわした気分になる。じわじわと喜びが湧き上がり、笑みがこぼれてしまう。
「はい。たくさん食べてください!」
「あぁ、軽くでいいよ。これ、作り置きのつもりなんだろ」
皿を受け取り、ご飯をよそって、たっぷりとカレーをかける。嬉しくなり、思わずカレーの中身を話したくなった。
「実はこれ、父から受け継いだ特製レシピなんです。トマト、にんにく、チョコレート。ルーは必ず二種類以上入れる。簡単なのに味に深みが出て。それと、たくさん作った方が美味しくなるので、大きな鍋にたっぷりと」
調子に乗って、聞かれもしないレシピの裏側を語ってしまった。課長の前に皿を置くと、彼は穏やかな笑みを浮かべ、スプーンを手にする。