苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

 今日この場にいるのは、私を含め三人だけで、若松さんは後から出社予定だ。結果が気になり、落ち着かない私は、少し離れた自分の席から二人の様子を見守っている。

「うぉぉ……まじか。最優秀賞はBチームリーダー、竹ノ塚(たけのづか)さんだって! やっぱ俺、ダメだったかぁ」

 佐伯さんは机に突っ伏して、両手で頭を抱える。志田さんは勇気づけるように、彼の肩を軽く叩いた。

「竹ノ塚さんは優秀だもん。納得だよ」

 それを聞いて、さっきから動悸が止まらない私はホッと胸を撫で下ろした。いつかは最優秀賞を取ってはみたいけれど、いきなり受賞してもそれを現実化させるだけの実力があるかどうか。まだ自信が持てず、もう少し勉強を重ねてからでもいいと思った。

「でも、三位までは優秀賞として発表されるでしょ。まだ望みが……」

 志田さんが言葉を止める。それを佐伯さんが覗き込んだ。なぜか二人が声を潜めて驚き合っている。

「え!? 待って。一人はBチームの角田(つのだ)さん。もう一人は、Aチームの後藤だって!?」

 その名前を聞き、こちらも急いで掲示板を確認する。画面を見て驚いた。まさか、自分とほぼ同期の後藤さんが優秀賞を取るなんて。
 経験豊富な先輩たちを抜かして、賞を取れたことは凄いことだ。意外と特別な能力でも備わっているのだろうか。

< 95 / 193 >

この作品をシェア

pagetop