苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

「まだ帰らないのか?」
「えっと、あともう少しやれば終わるので」

「そうか……。それなら、メンターの定期的な話し合いと、今日の結果を兼ねて……と思ったが、次の機会にしようか」

 その一言で、急に焦り出す。

「あの、もう終わります。いえ、すぐに終わらせます!」
「分かった。それなら、エントランスで待ってる」

 いきなり楽しみができてしまい、興奮しそうな心を落ち着かせながら、慌てて仕事を終えた。急いで支度を済ませ、エントランスへ向かう。

 すっかり残業時間になっていたせいか、人もまばらだ。エントランスに到着すると、スマホ画面を見つめていた課長がこちらに気付き、二人で駅に向かった。

「今夜の目的地はここから少し離れた場所だが、構わないか?」
「はい。どこでも大丈夫です」

 これも仕事の一環だというのに、すっかり二人でお出かけするような気分になっている。おかしな自分を戒めながら、頬が緩みっぱなしだった。



 電車を乗り継ぎ、東京駅で下車する。駅を出て高層ビルに向かうと、エレベーターに乗り込んだ。どこへ行くのか気になるけれど、課長は場所を明かさない。

 エレベータ―が高層階に到着し、扉が開く。

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