追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
霧が立ち込める川の岸辺に2人の横たわる体が重なっている。それは白藍の姫と旭だった。
最初に動き出したのは白藍の姫で、旭が横に倒れているのに気づいた。
真っ青な旭の顔に白藍の姫は泣きながら手を当てた。まるで氷のように冷たい。微かに息をしていることに気づくと呼びかけた。
「旭、旭。目を開けるのだ。死ぬでない」
「よかった。白藍、生きているのですね」
旭の声は弱々しいが、穏やかだった。白藍の姫を愛しく見つめる優しい瞳は美しく澄んでいた。
「旭を置いて死ぬものか。だが旭は矢が射抜かれいる」
「命をかけてお守りしたまでです。あぁ、白藍が無事でよかった」
「旭、さあ、ここから立ち去ろう、敵が来る」
「私はもう歩けません。白藍、行ってください。私がお守りした命を無駄にしてはいけません」
「嫌じゃ!旭と一緒でないと白藍は死んだも同然だ」
「駄目ですよ。私のために行ってください。最後の私の望みです」
「最後ではない。旭と離れるのは嫌じゃ」
「では、来世で旭のもとへ嫁いでください。必ず探します。約束します。だから今は逃げてください」
「旭と今生で結ばれたい」
白藍の姫はそう言い終わると涙が溢れるばかりで、その後の言葉が出てこない。旭は微笑みを浮かべて白藍の姫の涙を優しく拭った。そして小刀を渡した。
「この小刀を旭だと思って持っていてください。さあ、私が見ています。白藍の姿が見えなくなるまで、生きていますから行くのです。私の最後の望みを叶えてください。さあ、早く」
白藍の姫は渡された小刀を受け取る。そして旭の強い眼差しに押されるように立ち上がる。旭の頷く姿を見て、小刀を大事に胸に抱え歩き出した。
何度も振り向く姿を目に焼き付けるように見つめ、旭は静かに瞼を閉じ息絶えた。
白藍の姫は、拭っても拭っても、涙は絶えることなく流れ続けた。何処に向かうでもなく歩き出した。
助かることは皮肉なもので、旭がいない今は何処にも行き場がない。ただ屍になった心を引きずる。旭の最後の望みを叶えるためだけに歩いていた。
すると馬の蹄の音がする。気がつくと武内家の当主に捕まった。抜け殻のような魂のまま、旭の小刀を隠し持ち離さない。まるで旭の体を抱き寄せるように袖に隠し小刀を胸に抱き抱えていた。
藍の心の中は、、旭がいなくなったせいで、時間が止まっていたのだ。何もやる気が出ない藍は1日中、身動きせず過ごした。
そして、その間に結婚の話が勝手に進んでいた。
最初に動き出したのは白藍の姫で、旭が横に倒れているのに気づいた。
真っ青な旭の顔に白藍の姫は泣きながら手を当てた。まるで氷のように冷たい。微かに息をしていることに気づくと呼びかけた。
「旭、旭。目を開けるのだ。死ぬでない」
「よかった。白藍、生きているのですね」
旭の声は弱々しいが、穏やかだった。白藍の姫を愛しく見つめる優しい瞳は美しく澄んでいた。
「旭を置いて死ぬものか。だが旭は矢が射抜かれいる」
「命をかけてお守りしたまでです。あぁ、白藍が無事でよかった」
「旭、さあ、ここから立ち去ろう、敵が来る」
「私はもう歩けません。白藍、行ってください。私がお守りした命を無駄にしてはいけません」
「嫌じゃ!旭と一緒でないと白藍は死んだも同然だ」
「駄目ですよ。私のために行ってください。最後の私の望みです」
「最後ではない。旭と離れるのは嫌じゃ」
「では、来世で旭のもとへ嫁いでください。必ず探します。約束します。だから今は逃げてください」
「旭と今生で結ばれたい」
白藍の姫はそう言い終わると涙が溢れるばかりで、その後の言葉が出てこない。旭は微笑みを浮かべて白藍の姫の涙を優しく拭った。そして小刀を渡した。
「この小刀を旭だと思って持っていてください。さあ、私が見ています。白藍の姿が見えなくなるまで、生きていますから行くのです。私の最後の望みを叶えてください。さあ、早く」
白藍の姫は渡された小刀を受け取る。そして旭の強い眼差しに押されるように立ち上がる。旭の頷く姿を見て、小刀を大事に胸に抱え歩き出した。
何度も振り向く姿を目に焼き付けるように見つめ、旭は静かに瞼を閉じ息絶えた。
白藍の姫は、拭っても拭っても、涙は絶えることなく流れ続けた。何処に向かうでもなく歩き出した。
助かることは皮肉なもので、旭がいない今は何処にも行き場がない。ただ屍になった心を引きずる。旭の最後の望みを叶えるためだけに歩いていた。
すると馬の蹄の音がする。気がつくと武内家の当主に捕まった。抜け殻のような魂のまま、旭の小刀を隠し持ち離さない。まるで旭の体を抱き寄せるように袖に隠し小刀を胸に抱き抱えていた。
藍の心の中は、、旭がいなくなったせいで、時間が止まっていたのだ。何もやる気が出ない藍は1日中、身動きせず過ごした。
そして、その間に結婚の話が勝手に進んでいた。