追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
とうとう婚儀の日を迎えた。白藍の姫の感情は何もない。
旭がいないこの世は、月と星が雲に隠れる暗黒の夜でしかない。心は既に死に絶えていたのだから、この体をどう使おうと、どうでもよかった。
家のための婚儀なのだから白藍の姫の選択肢はない。この世に存在するには、時代に流されるしかないのだ。
旭の生きろという望みは、残酷なものでしかない。
それでも旭の言葉に答えたかった。旭の小刀は生きるための武器として持たされたが、白藍の姫にとっては、いつでも死ねるという呪物に過ぎない。
これは屍として体に閉じ込めている魂が、解き放たれて、旭のもとに行けるという道具なのだ。
死を迎えることが間近であってと願っていた。しかし、その願いは7年を過ぎた時に叶った。心残りは我が子を置いていくことだ。小刀を使う事はなく、病に侵されていた。
天を仰ぎ、とうに死んだ旭に言う。
「待たせたな。これで旭のもとへ行ける」
旭の小刀を胸に抱き涙が流れるのを感じた。
「旭の元へ行ける喜びを感じている。さぁ旭、私を連れて行け」
白藍の姫は静かに死を迎えた。その顔は安らかで美しかった。
これは藍の魂の潜在意識が呼び起こした夢であった。目覚めた藍は涙を流しているのに気づいた。夢か現実か分からない程の鮮明さだった。
藍は乱世で本当にあった出来事だと理解した。前世の記憶がほんの少し呼び起こされたものだと感じたのだ。
旭がいないこの世は、月と星が雲に隠れる暗黒の夜でしかない。心は既に死に絶えていたのだから、この体をどう使おうと、どうでもよかった。
家のための婚儀なのだから白藍の姫の選択肢はない。この世に存在するには、時代に流されるしかないのだ。
旭の生きろという望みは、残酷なものでしかない。
それでも旭の言葉に答えたかった。旭の小刀は生きるための武器として持たされたが、白藍の姫にとっては、いつでも死ねるという呪物に過ぎない。
これは屍として体に閉じ込めている魂が、解き放たれて、旭のもとに行けるという道具なのだ。
死を迎えることが間近であってと願っていた。しかし、その願いは7年を過ぎた時に叶った。心残りは我が子を置いていくことだ。小刀を使う事はなく、病に侵されていた。
天を仰ぎ、とうに死んだ旭に言う。
「待たせたな。これで旭のもとへ行ける」
旭の小刀を胸に抱き涙が流れるのを感じた。
「旭の元へ行ける喜びを感じている。さぁ旭、私を連れて行け」
白藍の姫は静かに死を迎えた。その顔は安らかで美しかった。
これは藍の魂の潜在意識が呼び起こした夢であった。目覚めた藍は涙を流しているのに気づいた。夢か現実か分からない程の鮮明さだった。
藍は乱世で本当にあった出来事だと理解した。前世の記憶がほんの少し呼び起こされたものだと感じたのだ。