続 追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 旭は急いで帰ったが、藍は来ていない。待っていると
期待したのでがっかりした。

何百年待っただろうか。藍の存在だけを求めていた。藍を想う一途な気持ちが、人生の全てだった。

だからこそ藍がいないのは腹立たしい。約束していたのに何をしているのかと。

待って待ちくたびれ諦めかけた時に現われた。藍の存在が重要で、やっと巡り逢えたから1分1秒でも逢いたいのに。
そう思っていたら玄関が勢いよく開く音がした。

「失礼します。先生帰っていたんですね」

明るい声が聞こえてきた。急いで玄関へ駆けつけた。藍は大きな手提げの紙袋とコンビニのビニール袋を手いっぱいに持っていた。  

それを台所に行きテーブルの上に置いた。後を追ってきた旭は、その様子を怒った顔で見ていた。その顔を見て藍は、空腹で機嫌が悪いと判断した。

「お腹空いたでしょ。育ち盛りですものね。ほらコンビニ弁当ですよ」
「何でいないの?」
「今いますよ」
「だから、先に来てると思った。約束でしょ」
「ああ、すみません。遠西寺先生の原稿が思うより早く仕上がったので、そっちへ行ってから来ました」
「それなら言ってくれたらいいのに」
「何ですか?先生、お腹空いているんですか?」
「何?」
「お腹空いたら腹立つタイプかなと。ちなみに私は眠かったら腹立つタイプですよ」
「別に腹減ったからって腹立てないよ」
「それ早口言葉みたいなこと言ってますよ。笑っちゃう」
「何笑ってるの」
「はいはい、すみません。コンビニ弁当バカにしたらいけませんよ。凄く美味しいんですよ」

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