追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
薄く開いた。カーテンから漏れる東の光。陽光に満ちた懐かしい、あの日を思い出し、早く目覚めてほしいと揺れ動く。瞼にちらつく黄金色は否応なしに目覚めさせようとする。
手を引かれ走り続けている。どこまでも続く道なき道は、枝や木か高く聳え立つ草むらに阻まれ抜けられる気がしない。
誰に手を引かれているのか、目を凝らして見ようとするが、前方を見たままで顔がわからない。振り向いて誰、誰なの。心が叫んだせいか、ゆっくりと心配気に藍を見つめるその顔は旭だった。
「佐藤先生?」
陽光が眩しく照らす。目の前で黄金色が刺すので、右手で眩しさを遮った。すると眠りから覚めた。
目を開けると藍はベッドで寝ていた。昨日の夜にホテルのラウンジへ行った事は覚えているが、部屋に帰った記憶は無い。
シャワー室のドアの開く音がして、旭がバスタオルを下半身に巻いて出てきた。その姿に驚いた藍は思いっきり叫び出した。
「ぎゃー、なんで私の部屋にいるんですか?しかもシャワーしてるし」
藍は慌ててシーツの中の自分の体を見た。服を着ていることに安堵した。
「何もしてないから。それに、ここは僕の部屋だけど」
「なぜ私の部屋に送ってくれないんですか?」
「大林さんが私は軽くないって、部屋を教えてくれなかった」
「え、そんなこと言ったんですか?」
「はい、それに僕に抱きついて離れなかったから、添い寝した」
「私、先生に手を出してないですよね。そうだ。さっき何もなかったって言っていたよね。服着ているし」
「ちょっと、やばい感じだったけど」
「何かあったとしても間違いです」
「何かあったら責任とってもらわないと」
「もしかして、担当をはずされます?」
「いいえ、もっと凄いこと」
「えー、退職!」
「いいえ、結婚」
「何、冗談言ってるんですか。そんな責任、そこら辺の女の子なら皆喜ぶわよ」
「じゃあ、大林さんも喜ぶ?」
「それは…」
口ごもる藍を見て旭は暗い顔をしたが、乱世のあの頃は愛があっても結ばれない。身分の差があるのだから結ばれる事は、決して許されないのだ。それを思えば、今は何とかなる。いや何とかする。白藍の姫との約束だ。
そして藍の耳元で囁いた。
「諦めないから」
手を引かれ走り続けている。どこまでも続く道なき道は、枝や木か高く聳え立つ草むらに阻まれ抜けられる気がしない。
誰に手を引かれているのか、目を凝らして見ようとするが、前方を見たままで顔がわからない。振り向いて誰、誰なの。心が叫んだせいか、ゆっくりと心配気に藍を見つめるその顔は旭だった。
「佐藤先生?」
陽光が眩しく照らす。目の前で黄金色が刺すので、右手で眩しさを遮った。すると眠りから覚めた。
目を開けると藍はベッドで寝ていた。昨日の夜にホテルのラウンジへ行った事は覚えているが、部屋に帰った記憶は無い。
シャワー室のドアの開く音がして、旭がバスタオルを下半身に巻いて出てきた。その姿に驚いた藍は思いっきり叫び出した。
「ぎゃー、なんで私の部屋にいるんですか?しかもシャワーしてるし」
藍は慌ててシーツの中の自分の体を見た。服を着ていることに安堵した。
「何もしてないから。それに、ここは僕の部屋だけど」
「なぜ私の部屋に送ってくれないんですか?」
「大林さんが私は軽くないって、部屋を教えてくれなかった」
「え、そんなこと言ったんですか?」
「はい、それに僕に抱きついて離れなかったから、添い寝した」
「私、先生に手を出してないですよね。そうだ。さっき何もなかったって言っていたよね。服着ているし」
「ちょっと、やばい感じだったけど」
「何かあったとしても間違いです」
「何かあったら責任とってもらわないと」
「もしかして、担当をはずされます?」
「いいえ、もっと凄いこと」
「えー、退職!」
「いいえ、結婚」
「何、冗談言ってるんですか。そんな責任、そこら辺の女の子なら皆喜ぶわよ」
「じゃあ、大林さんも喜ぶ?」
「それは…」
口ごもる藍を見て旭は暗い顔をしたが、乱世のあの頃は愛があっても結ばれない。身分の差があるのだから結ばれる事は、決して許されないのだ。それを思えば、今は何とかなる。いや何とかする。白藍の姫との約束だ。
そして藍の耳元で囁いた。
「諦めないから」