追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 藍は旭に当たるつもりは、なかったのだ。岡田が現れて勝手なことを言うので腹立たしいだけ。

それにあの時、同棲していた部屋に、女を連れ込んだことが蘇ったのだ。それで強い言い方になってしまったのだ。

旭がキスをしできたことも動揺したので、つい手が勝手に頬を叩いてしまった。仕事を後回しにして、旭を追い返したことは、反省しないと公私混同になってはいけない。

後で謝ろう、でも今は旭の顔を見られない。少しだけ篭っていたいと思ったのだ。

 旭は藍のことを考えると、仕事に手がつかない。こんなに心奪われるのに恋愛に関しては慎重になる。それは藍をなくしたくないのだ。

 乱世の時代に命をかけても愛した人。今でも命を捧げられる程だ。簡単に命をといっても、この時代は重く感じる。

時代が変われば、藍との接し方も変わって当たり前だ。重く感じれば感じるほど、離れてしまうのではないかと怖くなる。

藍が手から溢れていなくなってしまうと思っただけで、心がざわつき苦しくなるのだ。せっかく巡り逢えたのにどうすればいいか、途方に暮れていた。

「何故、気づいてくれない。旭はここにいるのに」

不意に出た独り言が、虚しく悲しみを感じた。
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