追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 旭が物語を紡いでいるうちに3月となり、大学も卒業を迎えた。22歳を超えているのだ。
 
とうに大人だが、藍に年のことを言われると、まだ子供扱いされているようで、1日でも早く卒業したかった。

学生でない旭なのだから藍に本気で向き合える。子供扱いをしないだろう。そして、受け入れてもらえるまで、愛を語り尽くす。諦めない、いや、諦められないのだ。

藍の心は必ず旭に帰ってくると信じている。この想いは、あの頃と全く変わっていないのだから。愛とは淡く儚く切ないものだった。

今では深く強く優しいものに思える。それは旭の強い想いが必ず届くと。そして叶うと信じて貫くのだと考えたからだ。

 物語の後半には、旭にとって未知の世界なのだ。自分がいなくなってからのことを手紙で、細かい出来事を知る。

まだ始まったばかりの物語の覚悟が必要になる。白藍の姫の命の終わりを受け止めるからだ。物語を書くのは、読む以上に苦痛が伴う。

旭が息途絶えて、白藍の姫は14歳の年齢で、敵の武将の側室となる。たった14歳で、無理矢理に側室にされるとは惨すぎる。

旭がいなくなった悲しみが癒えないうちに、親子ほどの歳の差がある者の側室とは言え妻の1人になる。

乳母の説得は、姫の命を守るためと、坂原家の血筋が繋ぐことを考えのことだった。それ程までに血筋が大事なのかと現代の人は思うが、その時代は家が途絶えることを最も恐れていた。

乱世の時代は、家を継いでいく事は困難だ。だからこそ1番、重要なのだ。

この時の姫は、側室となることを受け入れた。辛い選択を迫られた時に運命に逆らえないと分かったからだ。命を絶とうとすると旭の亡霊が絡みつき邪魔をした。

もう命も立つことが、叶わないのだから、心は死んだようになっていた。側室になろうが、死のうが、どちらも同じに思えたのだ。

敵である武将は、白藍の姫を可愛がり愛した。愛が深まる程に正室や他の側室達は、目の敵のように酷い仕打ちをするのだ。

でも、姫はなんとも思わなかった。それは心が無いからだ。
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