追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 小説の物語が進むと同時に、その連載は話題となった。それで取材の話が山ほど来ていた。

前回、時代小説家の遠西寺秀子の対談も好評だったせいもあり、同社の女性ファッション雑誌のスタッフに独占取材を頼まれた。

ファッション雑誌のスタッフは、その対談の時に旭の容姿を見て、逃すわけがなかった。

「あの佐藤先生、同社の雑誌のnan nan(ナンナン)の取材受けてくれませんか?」
「やだ」
「nan nan(ナンナン)は先生のファン層が見ている雑誌です。ファンサービスしませんか?ファンあってこそ佐藤旭があるのですから」
「そんなことしなくても、本が良ければ売れるだろう」
「私もファンですが、先生の写真が乗れば、とても嬉しいです。きっと他のファンも喜ぶと思います。私みたいなファンのために何とかならないですか」
「大林さんのため?」
「そうです。私はファン代表だと思ってください」
「大林さんは見返りに何かしてくれる?」
「なんでもします」
「本当になんでも?」
「はい、私ができる事はなんでも」
「仕方ないなぁ」

旭はしぶしぶ取材を受けるふりをした。藍のだめだと言われたら、やらざるを得ない。それに何でもしてくれると言う言葉に下心ありなのだ。

藍は自分の言葉に大したことは、ないと思っていたが、後で後悔することになる。旭はその目的のためなら、喜んで取材を受けるつもりでいた。

藍は、そんなことも知らず、取材を受け入れてくれ、ほっとした。これはファンのためになる。それに女性ファッション雑誌なので、旭の写真を楽しみにしていた。
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