追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 藍は車の中で、気がつくと眠っているのに、びっくりして飛び起きた。

「すみません。先生、眠ってしまいました」
「びっくりした。そんな飛び起きなくてもいいよ。ちゃんと運転するから」
「そんなんじゃなくて、先生を運転手にしてしまいました」
「いいよ。好きで運転しているから」
「いや、あの、ところで、まだ家に着かないんですか?ここはどこですか?」
「あぁ、夜景見ようと思って」
「え、暗くなっていますが、私どれぐらい寝ていました?」
「2時間位かな」
「えー、相当、車走らせていますよね」
「もうすぐ着くよ」
「なんで夜景?」
「うん、見たかったから」

藍に向かって、爽やかな笑顔で答えた。 
山の上から夜景を見ようと思ったのと、同時に2人の思い出がある空を見たかった。

 夜空を見上げると、うじうじ考えていることが、ちっぽけで大したものではないと感じた。無数の星を仰いだ時に、自分も小さい星屑だと思えば、悩みも吹き飛んだ。

壮大な夜空には、星の大小があり、薄い光の小さい星や光輝く大きな星、まだ光の届かない星もある。見えないものは、あったとしても無いと同じなのだ。まだ何も起こっていない悩みを、くよくよ考えるのではなく。

防げるものは、どうすべきか考えて、心配事が起こってから対処しようと思う余裕が生まれた。

思い出せば白藍の姫は、旭の名を思い、光を感じたくて、空を見上げたくなると言う。夜の空の美しい星を見たくて見上げると言う。姫はよく空を見上げた。

今日もあの頃のように見上げたい。今度は手の届く声を感じながら。旭は車を山の中腹で止め夜景を見た。

地に無数の光が見えた。まるで星を地面に散りばめたようだ。それと同時に夜空の星を見た。夜景と言う地の星の色々な光は、空の瞬く星の光を薄くしていた。
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