追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
その後も製本の話は、噛み合わないので一旦保留となった。それから何度か打ち合わせをした。結局、藍の提案通りに進み、第1巻の上が発売された。
そこで紀の津多屋(きのつたや)の書店のサイン会が開催された。サイン会は通常100名で整理券が配られる。しかしあまりにも反響が大きく300名になった。
それでも希望者が多いため、前もっての抽選にして、この人数だったのだ。.
3日間でサインを書いた本を納品することになっている。旭は自宅で本の山に埋もれて、せっせとサインをしていた。時々、藍に愚痴る。
「これ、拷問だよ。絶対に腱鞘炎になる」
「すみません。まだ日にちがあるので、ゆっくりでいいですよ」
「ゆっくりって言うけど、3日しかないんだけど」
「そうでしたね。すみません。こんなに反響があると思わず、調子に乗って受けてしまいました」
「調子に乗りすぎた。小説を書くより苦労する」
「私も手伝いたいのですが、ファンの気持ちを考えるとそうはいかず。応援だけ横でしています」
「じゃあ、充電」
旭は両手を広げて藍に抱きついた。
「先生、公私混同」
「抱きしめるくらいいいだろう、減るもんじゃなし」
「セクハラの親父みたいになってますよ」
「なんでだよ。充電しないとやってられない」
「ちょっと先生やめてください」
2人が抱き合っていると、書斎のドアが開いて葵が立っていた。
「何やっているの。旭」
「充電中」
「先生、離してください」
「いやだ。葵、見ての通りだ。取り込み中だから出て行け」
「なんで私じゃないの?」
「藍とは付き合っている。結婚するつもりだ」
葵は泣きながら出て行った。ほんの数日前の葵と旭のキスの場面か逆転してしまった。あの気持ちの切なさは、今なら藍は分かるのだ。
「先生、追いかけてください」
「なんで、期待させる方が最低だと思うよ」
「でも、気持ちを考えると辛いのが分かるんです。だから」
「嫌だ」
「もう」
藍は旭を置いて部屋から出て行った。外に出てみると葵はいない。若いだけあって、足が速い。そう思いながらあたりを探していた。
そこで紀の津多屋(きのつたや)の書店のサイン会が開催された。サイン会は通常100名で整理券が配られる。しかしあまりにも反響が大きく300名になった。
それでも希望者が多いため、前もっての抽選にして、この人数だったのだ。.
3日間でサインを書いた本を納品することになっている。旭は自宅で本の山に埋もれて、せっせとサインをしていた。時々、藍に愚痴る。
「これ、拷問だよ。絶対に腱鞘炎になる」
「すみません。まだ日にちがあるので、ゆっくりでいいですよ」
「ゆっくりって言うけど、3日しかないんだけど」
「そうでしたね。すみません。こんなに反響があると思わず、調子に乗って受けてしまいました」
「調子に乗りすぎた。小説を書くより苦労する」
「私も手伝いたいのですが、ファンの気持ちを考えるとそうはいかず。応援だけ横でしています」
「じゃあ、充電」
旭は両手を広げて藍に抱きついた。
「先生、公私混同」
「抱きしめるくらいいいだろう、減るもんじゃなし」
「セクハラの親父みたいになってますよ」
「なんでだよ。充電しないとやってられない」
「ちょっと先生やめてください」
2人が抱き合っていると、書斎のドアが開いて葵が立っていた。
「何やっているの。旭」
「充電中」
「先生、離してください」
「いやだ。葵、見ての通りだ。取り込み中だから出て行け」
「なんで私じゃないの?」
「藍とは付き合っている。結婚するつもりだ」
葵は泣きながら出て行った。ほんの数日前の葵と旭のキスの場面か逆転してしまった。あの気持ちの切なさは、今なら藍は分かるのだ。
「先生、追いかけてください」
「なんで、期待させる方が最低だと思うよ」
「でも、気持ちを考えると辛いのが分かるんです。だから」
「嫌だ」
「もう」
藍は旭を置いて部屋から出て行った。外に出てみると葵はいない。若いだけあって、足が速い。そう思いながらあたりを探していた。