恋色ノート
入ってきたその人は、わたしと目が合うと少しだけ柔らかく笑って、
「面接で、来たんですけど」
「……っ、あっ、えっと、ちょっと待っててください!」
うまく言葉が出てこなくて焦ったけれど、どうにか誤魔化してから僚くんを呼んだ。
事務所で面接するだろうから、わたしはキッチンの奥に隠れるようにした。
僚くんが入口まで出て行ってふたりが事務所に入って行くのを確認して、ふう、と騒がしい心臓を抑える。
訪ねてきたのは、同じ制服を着た背が高い男の子。
清潔感のある黒髪、細身の体、整った顔。切れ長の目は、全体的にバランスがいい。
わたしはその人を知っていた。
同じクラスで、いつも女子の注目の的になっている。
だけどどんな女の子からの誘いも一切受けないひと。クールで笑わなくて、またそこがいいって人気だ。