浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
なんだろう。

今日はずっと、息が苦しい。

そんな時、不意に日向先生の顔が浮かんだ。

静かな目。

“違和感というのは、案外正確です”

低い声が耳に蘇る。

――あなたは人を信じすぎる。……だから放っておけない。

まだ言われてもいない言葉なのに、なぜかそんな空気を感じた。

日向先生はきっと、私が思っている以上に色んな人を見てきたんだろう。

嘘をつく人も、裏切る人も。

私はカップを持つ手に力を込めた。

加絵は笑っている。

いつも通り綺麗で、明るくて、親友の顔をしていた。

なのにどうしてこんなに、不安になるんだろう。

一週間後。

私は再び、日向先生の事務所を訪れていた。

たった七日しか経っていないのに、ずっと胃の奥が重い。

この扉を開いた瞬間、全部が終わってしまう気がしていた。

応接室に入ると、日向先生はすでに資料を揃えて待っていた。
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