浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
「今日は、一人にしない方がいい」

視線が合う。

逃げ場のないくらい真っ直ぐな目だった。

「今日は、私のそばにいてください」

その言葉に、胸が小さく跳ねる。

断る気力なんて、もう残っていなかった。

私は小さく頷き、助手席へ乗り込む。

車内は静かだった。

微かにコーヒーの香りがする。

日向先生はエンジンを掛けると、そのままゆっくり車を走らせた。

どこへ向かうのかは分からない。

でも不思議と、不安はなかった。

街の灯りが窓の外を流れていく。

私はぼんやりとそれを見つめる。

隼太と別れる未来なんて、考えたこともなかった。

加絵まで失うなんて、もっと。

気づけば私は、指先を強く握り締めていた。

するとハンドルを握る日向先生が、小さく息を吐く。

「力が入っています」

私は慌てて手を緩めた。

「……すみません」

沈黙が落ちる。

でも嫌な沈黙じゃなかった。
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