浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
無理に励まそうとしない。

変に慰めようともしない。

ただ隣にいてくれる。

そのことが、今はありがたかった。

私は小さく呟く。

「何も言わないんですね」

すると日向先生は前を向いたまま答えた。

「何を言ったとしても、今のあなたを救えない」

低く静かな声。

綺麗事を言わないところが、この人らしいと思った。

「……でも」

赤信号で車が止まる。

その横顔が、少しだけこちらを向いた。

「一人で抱え込ませるつもりはありません」

胸が熱くなる。

その瞬間、涙がまた滲みそうになって、私は慌てて窓の外を見た。

夜景がぼやける。

こんなふうに誰かに守られたこと、今までなかった。

車は静かな住宅街へ入っていた。

窓の外を流れる景色をぼんやり見ながら、私は膝の上で手を握り締める。

ずっと苦しかった。

隼太を疑ってしまう自分も嫌だったし、加絵まで疑った自分も嫌だった。
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