浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
でも本当は、気づいていたのかもしれない。

二人の空気が変わっていたこと。

自分だけ置いていかれていたこと。

それを認めるのが怖かっただけで。

不意に視界が滲む。

私は慌てて顔を逸らした。

泣きたくない。

もう十分惨めなのに。

けれど次の瞬間、ぽたりと涙が落ちた。

それをきっかけに、堪えていた感情が一気に溢れる。

「っ……」

声を殺そうとしても無理だった。

涙が止まらない。

すると車が静かに路肩へ停まる。

私は俯いたまま、必死に涙を拭った。

「……すみません」

情けない。

大人なのに、こんなふうに泣くなんて。

その時だった。

シートベルトが外され、そっと肩を抱き寄せられる。

「……よく耐えましたね」

低い声が、すぐ近くで響いた。

その瞬間、私は完全に壊れてしまった。

「っ、先生……」
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