浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
私は指先をぎゅっと握り締める。

隼太と別れてから、何度も泣いた。

加絵のことを思い出して苦しくなった夜もある。

それでもここまで立っていられたのは、日向先生がいたからだった。

辛い時、電話をくれた。

眠れない夜は、ただ黙って話を聞いてくれた。

「無理に前を向かなくていい」

そう言ってくれた声に、何度救われたか分からない。

なのに。

今日で終わる。

私は俯いた。

「……全部、終わったんですね」

すると日向先生は少しだけ沈黙したあと、静かに頷いた。

「法的には」

その言葉に、胸が小さく痛む。

法的には。

つまり、弁護士としての役目は終わったということだ。

私は無理に笑った。

「先生には、本当にお世話になりました」

ちゃんと言わなきゃ。

感謝して、ここを出て行かなきゃ。
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