浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
「仕事が終わるまで、少し時間を潰せますか?」

日向先生はデスクの書類へ視線を落としたまま言った。

私はソファへ座りながら、小さく瞬きをする。

「……はい」

すると先生はゆっくりこちらを見る。

その視線が妙に熱くて、胸が落ち着かない。

「今日、俺の家に連れて行くから、覚悟して」

低い声。

あまりにも自然に言われて、私は一瞬意味が理解できなかった。

「え……」

心臓が跳ねる。

先生の家。

また行くんだ。

しかも“覚悟して”なんて言われたら、意識しない方が無理だった。

私は慌てて視線を逸らす。

「せ、先生、そういう言い方ずるいです……」

すると日向先生は少しだけ口元を緩めた。

「事実を言っただけです」

その余裕ある顔が悔しい。

私は熱くなる頬を誤魔化すように立ち上がった。

「ちょっと飲み物買ってきます」

「遠くへ行かないでください」
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